Musement Fair 楽曲解説 06. HAPPY BIRTHDAY (remix) feat. 武田カオリ


今や業界で引っ張りだこの歌姫、武田カオリさんの歌声の驚異的な存在感。はじめてTICAを聴いた時は、トレイシー・ソーンのようだと思いました。そんな声でそんな風に歌える人が日本にいたなんて。武田さんの登場でガラっと世界が変わる快感を味わっていただきたいです。


前作が出てからずっと一人で悶々と抱えていた後悔がありまして、この曲は安藤裕子さん、鈴木祥子さん、ミトさん(クラムボン)にもコーラス参加していただいて、その旨をアナウンスしていたにも関わらず、私のうっかりミスでお三方のコーラスがまったく聴きとれないミックスで世に出してしまった事です。今回のリミックスでは参加してくれた皆さん全員の声がちゃんと聴こえるようになっています。


作曲したのは2002年。フィフス・ディメンションの「Up Up And Away」(ジム・ウェッブ作曲) や、スイング・アウト・シスターの「You On My Mind」(これもまたジム・ウェッブによるプロデュース)など、そういったスタイルの名曲を目指すという高いハードルのもとに作った曲です。目まぐるしく転調し、多幸感と切なさが両方ある、そんなような。


前作でボーカル録音のエンジニアをしていただいたのは高橋健太郎さんで、ハッピーだけど悲しいラブソングという歌詞の方向性と、パーティピープルのコーラスは健太郎さんのアイデア。自ら采配をとって友人の方々を大勢集めてガヤとコーラスを録音して下さいました。私は未だにこのコーラスを聴くたびに、人の声の力や、楽しんで無償の協力をしてくれた皆さんの気持ちを思って泣けてきます。武田さんの柔らかく暖かい、抑揚を抑えたボーカルと、楽しげなコーラスの対比がとても切ない。今回リミックスして、やっとそれらすべてが在るべき姿に落ち着きました。あのとき歌ってくれた方々、チビっ子達(今は10代半ばぐらいになってるだろうか)に私の感謝が届くと嬉しいのですが。


この曲の歌い出し「たくさんのプレゼント」の部分のコード進行「E→C→G」は、キング・クリムゾンの「I Talk to the Wind」という曲からヒントを得たもので、これまた突拍子もないところに取っ掛かりがありました。


この曲も、前作で私が弾いていた間奏のラップスティールソロとエンディングのヒドいギターソロ(NRBQのアル・アンダーソン風のイメージで弾いた)を、ソフトシンセで再構築。大切な曲をちゃんと成仏させたいという、執念のなせる技でございます。



The 5th Dimension「Up Up And Away」


Swing Out Sister「You On My Mind」